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フィンランド人尾道滞在記
【海Q呉編エピローグ】 つなぎとめてくれるもの
何かこう、つなぎとめてくれるものが少なからずあれば、その街には何度も足を運びたくなるものだと思う。例えば、おいしい食べ物とか。
呉は広島のなかでも、個人的には福山にも劣らないほど都会的に映る。港があり、造船所があり、そして商店街がある。自分にとっては、これだけでも魅力的だ。でもある食べ物を知ってから、より一層呉への思いは強くなった。
それは本通りの辺りにある、エーデルワイスという洋菓子店の、「クリームパイ」というケーキ。一番上に生クリーム、その下にカスタードのムース、そして一番下にパイ生地、フルーツなどは入っていない。生クリーム・カスタード・パイ、シンプルだけど、その3つだけで本当においしい。2階にある喫茶室でこのクリームパイを食べることは、もはや自分にとって呉での定番になりつつある。
そして最近、自分と呉をつなぎとめてくれる食べ物が、また一つ。関白という店のジンギスカンだ。ジンギスカンといっても、焼いているのはラムではなくて牛バラ肉。ジンギスカン用の、あの山型の鍋で焼かれた牛バラ肉は、柔らかくそして甘い。旨みを含んだ甘さだ。ただ初めて食べたとき、調子に乗って生ビール(大)も飲んだため、実質2人前もあるジンギスカンは完食できなかった。今度はぜひ、ご飯と一緒にいただきたい。
食べ物だけじゃなく、魅力的な場所も最近発見した。それは商店街をさらに北上した、小高い住宅街の中にある。江戸時代にこの辺りで庄屋を務めた沢原家の邸宅だ。特に、蓑壁という珍しい技法が用いられた三ツ蔵は、住宅街の中にあって、そこだけ次元が違うような強烈な存在感を放っている。 自分は初めてこの三ツ蔵を見たとき、なぜかオランダの風車が頭をよぎった。それだけ特徴的だったということか。さらについ先日、この建物が戦時中の呉を舞台とした漫画『この世界の片隅に』も登場しているのを発見したことで、より印象深い建物に思えてきた。おそらく戦時中から、すでにその存在感は際立っていたのだろう。『この世界の片隅に』についてはアニメ化が決定しているという。あるいは竹原のように、聖地巡礼で盛り上がることになるのか。いずれにしても、しばらく呉への関心は続きそうだ。
あなごのねどこスタッフ MOOさん